柘榴のように赤い色のガーネットだけでなく、緑や黄色、オレンジやピンク、黒など、何十種類もの色があることをご存知ですか?
この記事では、19種類のガーネットを1つずつ解説します。
それぞれの産地や色、特徴などをご紹介しますので、自分に合うガーネットをお探しください。
そもそもガーネットとは?どんな天然石なのか。
ガーネットの歴史
ガーネットがいつ頃発見された石なのか、具体的な時期は判明していません。
少なくとも宝飾品として使われ始めてから、すでに数千年の歴史を持つと考えられています。
たとえば、あの「旧約聖書」の物語に登場するノアの方舟にもガーネットが登場します。
暗闇を進む方舟の中で、暗闇を照らす灯火としてガーネットを吊り下げていたのだそうです。
また、紀元前のエジプトではファラオの首飾りにもガーネットが使われています。
来世への財産としてミイラ化した遺体とともに埋葬されていました。
ほかにも、中世ヨーロッパの十字軍の兵士が、勝利の護符としてガーネットを身に着けていました。
血をイメージするガーネットは、ケガから身を守り無事に戦場から帰還できると言い伝えられていたのです。
このようにガーネットは、はるか昔から、日本を含めて世界各地で美しい天然石として祀られてきました。
ガーネットの主要産地
ガーネットは世界各地で産出されます。
種類によって採石される地は違いますが、インドやロシア、スリランカなどが特に有名です。
インドはガーネットの赤色を代表する種類、アルマンダインガーネットの主要産出地です。
また、マラヤガーネットはタンザニアのウンバ、マリガーネットはマリ共和国など。
ほとんどその土地でしか見つからない種類もいくつかあります。
日本ではアルマンダインガーネットが中心に採掘されています。
ほかにも、奈良県天川村で多く採れるレインボーガーネットは世界的に有名です。
ガーネットの魅力
ガーネットの魅力は豊富なカラーバリエーションと、安定した産出量、宝石として加工しやすい石であることが挙げられます。
見た目が美しくても硬度が低かったり変質しやすかったりと、取り扱いが大変な天然石もあります。
ガーネットは無加工でも輝きがある美しい見た目で、加工もしやすい種類が多くあります。
1月の誕生石のほかに、結婚記念日をお祝いする石でもあります。
日本では、結婚18周年を祝う「石榴婚式(ガーネット婚式)」があることをご存知ですか?
結婚から18年を過ぎると、お子様の進学や就職で忙しくなる時期です。
ガーネットは「実りの象徴」の石です。
これまで夫婦として子供を養い、家族全員で作り上げてきたものが花開く時期にガーネットを贈るのです。
そして「友愛」や「忠実」という宝石言葉もあります。
長年連れ添った夫婦関係を、改めて考えるきっかけにもなるお祝いの石です。
ガーネットはヒーリングストーンとしても強力なエネルギーを授けてくれます。
もちろん宝石としての魅力も兼ね備えている美しい天然石です。
ガーネット全19種類を解説
「ガーネット」はガーネット一族の総称で、特定の天然石の名前ではありません。
グループに分けると、アルミニウムを主体とした「パイラルスパイトグループ」、カルシウムを含んだ「ウグランダイトグループ」の2つに分類されます。
また、2種類以上のガーネットが溶け込んだ新しい混合体である「固溶体」も存在します。
宝石品質にあたる代表的な6種類から、さらに色や産地によって名前がつけられているのです。
すべてのガーネットは基本的な結晶構造が同じです。
化学組成の一般式は「X3 Y2(SiO4)3」で、このうちX3にはカルシウム、マグネシウム、鉄、マンガンのいずれかが入ります。
そしてY2にはアルミニウム、鉄、クロムが入ります。この「X3 Y2」の組み合わせの違いで、複数のガーネットが生まれるのです。
鉱物学的には16種類があり、そのうち宝石として扱われるのは「パイラルスパイトグループ」の3つ、「ウグランダイトグループ」の3つを合わせた計6種類です。
では、ガーネットの種類によってどんな違いがあるのでしょうか?
次から19種類のガーネットの特徴をグループごとに解説します。
パイラルスパイトグループ(アルミニウムガーネット)
パイラルスパイト系統のガーネットは、主に赤色系のガーネットが存在します。
アルミニウムや鉄を含んでおり、赤色のほかに濃いピンク、紫色、ワインレッドなどの色彩が楽しめます。日本でも産出されることが多く、1月の誕生石としてなじみが深いのはこちらのパイラルスパイトグループです。
パイロープガーネット
和 名:苦礬柘榴石(くばんざくろいし)
色 彩:赤紫・暗赤・橙赤・茶赤色など
石言葉:燃える愛
原産地:チェコ、ノルウェー、アメリカ、タンザニア
組 成:Mg3Al2(SiO4)3
硬 度:7.0~7.5
比 重:3.60~3.75
特徴
- 鉄やクロムによって血や炎を思わせる濃い赤色が多い
- 結晶のサイズは小さめで2カラットを超えるものは少ない
- 16世紀にボヘミアで見つかり宝石産業の繁栄を担った
パイロープガーネットは、血や炎を連想させるような深紅をしています。
もともとの輝きが強く、採石後に加工を施さずとも宝石のように美しい光沢が楽しめます。16世紀に見つかったチェコのボヘミアでは、パイロープを元に宝石加工産業が発展しました。
現在はアメリカや南アフリカ、オーストラリアなどでも産出されます。炎を思わせるカラーは、情熱を呼び起こさせてくれるガーネットです。熱のこもった恋愛をしたい、勉学や仕事などに力を入れて目標を叶えたい方におすすめです。
アルマンダインガーネット
和 名:鉄礬柘榴石
色 彩:透明感のある赤・赤茶・紫色
石言葉:友愛・勝利・真実
原産地:インド・カナダ・ブラジル・ロシア・イタリア・日本など
組 成:Fe2+3Al2(SiO4)3
硬 度:7.5
比 重:3.70〜4.26
特徴
- 鉄分による黒っぽい赤色の色彩
- 透明度が高いものは針状のインクルージョンを確認できる
- 産出量トップクラス(国内でも確認されている)
赤系ガーネットの中でも特に産出量が多い種類です。パイロープより鉄の含有量が多いので、赤黒い色合いをしています。
また成分の配合率によってピンクがかったアルマンダインガーネットも存在します。
成長過程で入った不純物や成分によって、針状の細長いインクルージョンが生まれるのもアルマンダインガーネットの特徴です。アルマンダインはブラジル、東アフリカ、アメリカ、オーストリア、そして日本の愛媛県や福島県の一部地域でも産出が確認されています。
アルマンダインガーネットは勝利の石として、古くから信仰されてきました。勝利運を上昇させて、受験や就活などのここぞという場面でサポートしてくれます。
恋愛面では復縁を目指す相手に振り向かせる、関係の修復も担ってくれる天然石です。現状を変えて、仕事や恋愛などをより良くしていきたい方におすすめです。
スペサルティンガーネット
和 名:満礬柘榴石 (まんばんざくろいし)
色 彩:淡いオレンジ・オレンジ・赤褐色・黄褐色
石言葉:秘めた情熱、不言実行、忠実
原産地:ナミビア、ナイジェリアのインセン、タンザニア
組 成:Mn3Al2(SiO4)3
硬 度:7.0~7.5
比 重:4.15
特徴
- 鮮やかなオレンジ色・赤褐色が特徴のガーネット
- 鉄の含有量が多いと暗赤色・ダークオレンジになる
- 発見地であるドイツのスペッサルト地域が名前の由来
スペサルティンガーネットは、オレンジ色が特徴のガーネットです。
まるでフルーツのオレンジの皮を思わせる、オレンジ色のスペサルティンガーネットは「マンダリンガーネット」として流通しています。
含有するマンガンによる色で、純度が高いものほど明るいオレンジ色になります。そして鉄の含有量が多いスペサルティンガーネットは、暗い赤色が混ざるので赤褐色やダークオレンジに変化します。
スペサルティンの名前の由来は、発見当時の主な産地であるドイツのスペッサルト地域です。今ではナイジェリアやスリランカ、マダガスカル、アメリカなど世界各地で産出されています。
宝石的価値では透明度が高く、オレンジ色が鮮やかなものほど高品質とされています。鮮やかなオレンジカラーが持ち主にポジティブなエネルギーをもたらしてくれますよ。活力がみなぎる日々を送りたい方におすすめです。
マンダリンガーネット
マンダリンガーネットは、主にナミビア産のスペサルティンガーネットの流通名として使われています。スペサルティンガーネットがオレンジカラーであれば、マンダリンガーネットは赤みを帯びたオレンジです。
産地に関係なく、彩度が高いオレンジカラーのスペサルティンガーネットの流通名として、マンダリンの名が使われることもあります。
マンダリンガーネットはインクルージョンが目立つ石が多くあります。宝石として透明度が高く、インクルージョンがほとんどない品質のマンダリンガーネットはとても希少です。
ウグランダイトグループ(カルシウムガーネット)
ウグランダイト系統のガーネットは、緑色や黄色、褐色などのカラーが多くあります。
特にグロッシュラーガーネットは緑色のほか、黄色やピンク、オレンジ、無色透明ととてもバリエーション豊かです。同じグロッシュラーガーネットでも、色によって違った名前がつけられています。
ほかにも鉄を多く含むアンドラダイトガーネット、エメラルドのような明るい緑色のウバロバイトガーネットもウグランダイトグループに含まれます。
グロッシュラーガーネット(ツァボライト)
和 名:灰礬柘榴石(かいばんざくろいし)
色 彩:黄緑・緑・黄色・黄褐色・赤など
石言葉:決断力・実行力・富と権力
原産地:タンザニアのメレラニ・ケニア・ブラジル・福島県・新潟県
組 成:Ca3Al2(SiO4)3
硬 度:6.5~7.5
比 重:3.61
特徴
- 緑色~黄緑色のガーネット
- 緑色のグロッシュラーガーネットはグリーンガーネット(ツァボライト)の名前で流通している
- ツァボライトはティファニー社が名付けた商品名
グロッシュラーガーネットの中でも、特に有名な緑色~黄緑色をしたものを「グリーンガーネット」「ツァボライト」と呼びます。
ツァボライトとは、あのティファニー社が名付けた宝石としての商品名です。ティファニー社のプロモーションで、一躍有名になりました。
グリーンガーネットは、無加工でも美しい鮮やかな緑色の発色と、強い輝きが特徴です。インクルージョンが少なく光の屈折率も高いので、その美しさはエメラルドにも引けを取りません。
主な産地はケニアのツァボ、タンザニアのメレラニ鉱山、マダガスカルやメキシコなど世界各地で見つかっています。
ゴールデンイエローガーネット
グロッシュラーガーネットの中でも、黄色系の色味をしたガーネットです。透明度が高いと内部に、流線状や針状をしたインクルージョンがはっきりと確認できます。
黄金カラーのゴールデンイエローガーネットは、自信と勇気を与えてくれるお守りになります。また、金運アップや仕事での業績を上げたいといった成功を目指す方にもおすすめです。
オレンジガーネット(ヘソナイト)
オレンジガーネットはグロッシュラーの中でも、オレンジ色や赤褐色色をした種類です。特徴はハチミツが溶けているかのような、トロミのあるインクルージョンが見えること。
このインクルージョンは、「糖蜜状組織(スタビー結晶インクルージョン)」と呼ばれます。光に当てると内部のインクルージョンが反射し、繊細な光沢を楽しめますよ。オレンジガーネットは持ち主のエネルギーを高めて、前向きな気持ちをもたらします。物事を前進させる行動力を養うので、最近停滞を感じる、やる気が出ない方のお守りとして身に着けてみてください。
リューコガーネット
グロッシュラーガーネットの中でも、色素がない透明な見た目をした種類です。無色透明と言っても、完全にガラスのように色が全くないリューコガーネットは希少です。
よく見ると、グロッシュラーの色素である黄緑や黄色がほんのりと確認できます。色素が目立たず透明度が高いリューコガーネットほど高値がつけられます。リューコガーネットは、1カラット以上の大きいサイズが見つかることはめったにありません。それゆえ一部の宝飾品を除いて、原石結晶のまま市場に出回ることが多いです。
ヒーリングストーンとしては、リューコガーネットは決断力と実行力を高めるとされています。また、同時に肉体と精神を落ち着けるとも言われており、静と動両方のヒーリングをもたらしてくれます。
アンドラダイトガーネット
和 名:灰鉄柘榴石(かいてつざくろいし)
色 彩:黄、黄褐色、緑、赤茶色、灰色、黒など
石言葉:創造力・生命力・勇気
原産地:ロシア・イタリア・韓国・日本など
組 成:Ca3Fe2(SiO4)3
硬 度:6.5~7.0
比 重:3.8
特徴
- カルシウムと鉄などの含有量によってさまざまなカラーがある
- 国内でも産出されているガーネット
- 色によって名前が違う
アンドラダイトガーネットは、主にカルシウムと鉄で構成されている種類です。色は黄色や緑、赤、黒までたくさんのバリエーションがあります。
カルシウムや鉄を含めた、成分の含有量によって、さまざまな色が生まれます。アンドラダイトガーネットの中でも、七色の光が楽しめるレインボーガーネットは、日本の奈良県天川村が主要産地です。
ほかにも主にマリ共和国のみで産出される、マリガーネットなども有名です。数あるガーネットの中でも、ダイヤモンドに匹敵する強い輝きが見られるデマントイドガーネットもアンドラダイトの一種です。
デマントイドガーネットは、ガーネットの中でも最高ランクの宝石品質の石として取引されています。
デマントイドガーネット
デマントイドガーネットは、含有するクロム元素によって鮮やかな緑に発色するガーネットです。あの宝石の代表、ダイヤモンド以上の分散度を誇っている唯一の天然石と言われています。
そのままでも強い輝きを放つ特性から、古くより宝飾品に加工されてきました。デマントイドガーネットは、ロシアのウラル産のみ「ホーステールインクルージョン」という特殊な内包物が見られます。
名前のとおり、まるで馬の尻尾のような細長い流線状のインクルージョンで、光に晒すと繊細な輝きを楽しめます。残念ながら現在は産出量が減少しており、とても希少なガーネットです。見た目の美しさも合わせて、ガーネットの中でも特に高値で取引されています。
レインボーガーネット
レインボーガーネットは、褐色や黒っぽい原石をしており、光に当てると七色の輝きが見えるガーネットです。メキシコのほかに奈良県天川村が産地として有名です。
七色の輝きは、表面にある鉄が光の干渉を受けることで生まれる自然由来の美しさです。特に天川村の行者還岳では、虹色の光が鮮やかで「スーパーレインボーガーネット」の名前で販売されることがあります。
原石自体は黒っぽい見た目であることから、宝石に加工されることはほとんどありません。天川村では原石標本などをお土産で販売していて、鉱石コレクターを中心に人気があります。
トパゾライトガーネット
トパゾライトガーネットは、まるでトパーズのような黄金カラーをしたガーネットです。成分によってブラウンイエローや、褐色系の色味をしたトパゾライトガーネットもあります。
別名「イエローデマントイド」とも呼ばれています。
主にロシアのダルネゴルスク、ノルウェーなどで採掘されますが、現在はかなり産出量が減っています。めずらしいカラーのガーネットなので、コレクター人気が高いですが宝飾品としても美しい石です。
やる気と情熱をもたらすほか、「吉報を呼ぶ石」とも言われています。仕事や趣味に打ち込む継続力もサポートしてくれるので、願望成就を願う人のお守りにもおすすめですよ。
ウバロバイトガーネット
和 名:灰格柘榴石(かいかくざくろいし)
色 彩:濃い緑色
石言葉:成功・繁栄
原産地:スペイン・ロシア・フィンランド・ノルウェー
組 成:Ca3Cr2(SiO4)3
硬 度:7.5
比 重:3.77
特徴
- 母石に小さな結晶が集まった見た目をしている
- 鮮やかなエメラルドグリーンをしている
- 結晶の集合体なので原石結晶の状態で流通する
ウバロバイトガーネットは、1㎜程度の小さな結晶が集まったガーネットです。色は鮮やかなエメラルドグリーンで、強い光沢が楽しめます。
小さな結晶だけでなく、基本的に蛇紋岩などの母石付きの原石結晶が流通しています。また母石ごとカットしてペンダントトップやリングに加工した、アクセサリーも販売されています。
結晶の付着量や位置によって、違った表情を楽しめることがウバロバイトガーネットの魅力です。
そしてウバロバイトガーネットは、持ち主の魅力を高める天然石でもあります。カリスマ性を高めるため周囲からの信頼や評価を得たい方は、ぜひ身に着けてみてください。
また、周囲の人間関係を整えるため人が集まる場のインテリアとして飾る方法もおすすめです。
中間タイプ(固溶体)
ガーネットは、2種類の成分が混ざり合ってできる中間タイプがあります。
この中間タイプは「固溶体(こようたい)」と言い、ガーネットが混ざり合ったからこそ生まれる色彩が魅力です。
ロードライトガーネット
和 名:薔薇柘榴石
色 彩:紫を帯びた赤色(ワインカラー)
石言葉:友愛・真実・勝利
原産地:アメリカノースカロライナ州・タンザニア・インド・スリランカなど
組 成:Mg3Al2(SiO4)3
硬 度:7.0~7.5
比 重:3.78~4.05
特徴
- パイロープとアルマンダインが混ざったガーネット
- 紫色・赤紫色・濃いピンク色がある
- 赤系ガーネットの中でも特に流通量が多く人気がある
ロードライトガーネットは、パイロープとアルマンダインが合わさったパイラルスパイト系統の中間タイプです。
2つが合わさることで、ワインレッドのような赤紫、ブドウに似た紫色の色が生まれます。パイロープはギリシア語でバラを意味する「ロード(Rhodo)」が名前の由来です。
赤色のガーネットの中でも、美しいワインカラーを持つ石として、もっとも人気があります。
その歴史は古く、1882年にアメリカのフロリダ州で発見されて以来世界各地で産出されるようになりました。帝政ロシア時代では、国を象徴する石として装飾品や宝飾品に加工された歴史があります。
マラヤガーネット
和 名:柘榴石(ざくろいし)
色 彩:ピンクレッド・オレンジピンク・ライトピンク・赤褐色・薄茶色など
石言葉:内気・心を奪う素質
原産地:タンザニアのウンバ鉱山・マダガスカル
組 成:(MgFeMnCa)3Al2(SiO4)3
硬 度:7.0~7.5
比 重:3.64
特徴
- タンザニアのウンバ渓谷で産出されるため「ウンバライト」とも呼ばれる
- ピンク色や茶色・シャンパンカラーの透け感がある見た目
- カラーチェンジ効果があるマラヤガーネットもある
マラヤガーネットは、パイロープ+アルマンダインの中間タイプです。主にタンザニアのウンバ渓谷で産出されるガーネットです。透明度が高く、ピンクや茶色、中には黄色みを帯びたシャンパンカラーも産出されます。
マラヤという名前は、当時産出量が多いスペサルティンガーネットと似ていることから、それよりも「とるに足らない(品質)の石」としてつけられた名前です。
スワヒリ語で「部外者」を意味することから、今は産出地からとった「ウンバライト」と呼ばれることが多いです。
マリガーネット
和 名:柘榴石(ざくろいし)
色 彩:黄色・黄褐色・黄緑・赤褐色など
石言葉:挑戦・自立
原産地:マリ共和国、タンザニア、マダガスカル、スリランカ
組 成:(CaFe)3Al2(SiO4)3
硬 度:7.0
比 重:3.60~3.66
特徴
- マリ共和国で発見されためずらしいガーネット
- グロッシュラーとアンドラダイトの中間タイプ
- 透明感がある緑色・黄緑色のほかバイカラー・パーティーカラーもある
マリガーネットは、マリ共和国で発見された緑色や黄緑色のガーネットです。
グロッシュラーとアンドラダイトの中間タイプで、中には2色が合わさったバイカラーや、3色以上が混在するパーティーカラーも存在します。ガーネットの中でも特徴的な見た目から、混色宝石コレクターを中心に人気です。
マリガーネットは複数のガーネットや成分が混ざっているため、ガーネットの情熱的エネルギーと同時に心身を癒すヒーリングストーンにもなります。心のバランスを整えつつ、新しい物事へ挑戦するやる気を生む石として、長期的な目標達成への原動力をサポートしてくれます。
べキリーブルーガーネット
和 名:特になし(柘榴石)
色 彩:青緑色から赤~赤紫色にカラーチェンジ効果あり
石言葉:真実・忠実・愛
原産地:マダガスカルのベキリー鉱山
組 成:Mg3Al2(SiO4)3、Mn(II)3Al2(SiO4)3
硬 度:7.0
比 重:3.72~3.78
特徴
- 青色のガーネット
- 光の種類によって青から赤・ピンクに変化するカラーチェンジ効果を持つ
- マダガスカルのべキリー鉱山でのみ産出される
べキリーブルーガーネットは、スペサルティンとパイロープの固溶体です。
数あるガーネットの中で、唯一青の色彩を持っています。太陽や蛍光灯の下だと青やブルーグリーンの色彩をしていますが、白熱灯に当たると赤色に変化する特性をがあります。この色の変化は、スペサルティンとパイロープの固溶体だからこそ楽しめるものです。
ただしべキリーブルーガーネットは、カラーチェンジ効果を持つガーネットの中でも、わずか3%しか産出されていません。現在はべキリーでの産出量が減っており、「カラーチェンジガーネット」の名前で販売されることもあります。
大粒で色の変化が大きいものほどさらに高値がつけられます。また大きくても1カラット程度のサイズなので、結晶がそのまま市場に流通することがほとんどです。
特殊な性質のガーネット
ガーネットが自然界で形成されることで、偶然生まれる特殊な性質があります。通常のガーネットとは違った特徴、風貌を楽しめます。
個性的なガーネットをお探しの方はぜひ身に着けてみてはいかがでしょうか。ここでは、光に当てると星のような輝きが見えるスターガーネットと、水晶の中にガーネット結晶が見えるガーネットインクォーツをご紹介します。
スターガーネット
和 名:柘榴石
色 彩:赤・深紅で光を当てると四条や六条の筋が出る(星のような輝き)
石言葉:聖なる実行力・勝利・癒し
原産地:中国・インド・スリランカ・ブラジルなど
組 成:A3B2Si3O12
硬 度:7~7.5
比 重:3.6~4.2
特徴
- 細い光の線が星のように光る「スター効果」を持つ
- スター効果が見えるのはアルマンダインガーネットがほとんど
- 勝利や友愛を象徴する天然石
スターガーネットは四条、六条の細い光の線が見える「スター効果」を持っています。ガーネットが生成される過程で、中に入った不純物やクラック(割れ)に光が反射して生まれる自然の輝きです。内包物によって光の線の数や太さはさまざまです。
ちなみに特徴的な細い光の線が見られるのは、ほとんどがアルマンダインガーネットです。そのため、どのガーネットにもスターガーネットが存在するとは限りません。
市場に流通する多くはアルマンダインが主流なので、スター効果を持つ赤色系ガーネットが多いです。勝利や友愛を象徴するパワーストーンとして、仲間との絆を深めてくれます。また恋愛面においては「貞節の石」と呼ばれています。
遠距離や事情があって離れることを決めたカップルの再会を誓う石として、プレゼントし合った歴史があります。
ガーネットインクォーツ
和 名:ガーネット入り水晶(柘榴水晶)
色 彩:透明な水晶の中にレッド・オレンジなどのガーネットのインクルージョン入り
石言葉:情熱的・知恵・忍耐力
原産地:マダガスカル、インド、ブラジル、スリランカなど
組 成:水晶SiO2+ガーネット(アルマンダイン:Fe3Al2(SiO4)3k、ロードライト:(Mg, Fe)3Al2(SiO4)3)
硬 度:6.5~7.5
比 重:2.7
特徴
- クォーツの中にガーネットの結晶が入った見た目
- インドやマダガスカルなどガーネットの主要産地で見つかる
- シンプルで上品な見た目からパワーストーン・宝石どちらも人気
ガーネットインクォーツは、名前のとおりクォーツ(水晶)の中にガーネットの結晶が入った天然石です。
透明なクォーツの中に、ガーネットの赤や黄色、緑などの結晶が不規則に並んだ見た目が特長です。まるで水中を泳ぐ宝石のように美しく、通常のガーネットとは違った繊細な輝きを楽しめます。
クォーツとガーネット両方が産出される地で見つかりやすく、現在は主にインドやマダガスカル、ブラジルなどで発見されます。どちらの石もマイナスエネルギーを浄化し、場を清めるヒーリングストーンです。両者が合わさったガーネットインクォーツは、より優れた魔除けのストーンとして人気があります。
ガーネットの選び方
ガーネットは宝石の中でも数多くが流通している天然石です。色や種類が多様だからこそ、どれが自分に合うのか迷う方もいらっしゃるのではないでしょうか?
基本的に天然石は直感や色の好みで選びましょう。また長く石と付き合うためには、品質の良いガーネットの見分け方を知っておくことも大切です。
価格の安さや入手しやすさで選ぶと、フィーリングが合わずせっかく石がもたらすエネルギーを感じ取りにくくなってしまいます。品質を見極めつつ、直感で「良い」と思ったガーネットを探してみてください。ガーネットを選ぶうえで、最低限知っておきたい市場で高く評価されるポイントをご紹介します。
透明度が高いもの
ガーネットは基本的に透明度が高く、輝きが強いものほど宝石として高く評価されます。ガラスのように透き通ったガーネットは、光に当てたときに内部までしっかりと確認できます。
特に独特のインクルージョンを楽しめるには、ある程度透明な見た目が必要です。たとえばデマントイドガーネットなど、特徴的な輝きやインクルージョンを持つガーネットは、透明度が高いタイプがおすすめです。
色合いが鮮やか・明るい
ガーネットはくすんだ色よりも、発色が鮮やかで明るい色味が人気です。同じ赤色でも、黒っぽいよりも赤自体が濃いものが高品質とされています。
一般的に赤色よりも緑色のウグランダイトグループは、希少なので高値がつけられます。
ティファニー社が名付けたことで知られるツァボライト(グリーンガーネット)は、色が鮮やかでサイズが大きいものは高値で取引されています。
もちろん淡い色味のガーネットも人気があります。
ただし淡いガーネットは宝石に仕立てたとき、本来の色味が目立ちにくくなることがあります。ゴールドやシルバーを使ったアクセサリーにするのなら、基本的に鮮やかな色がおすすめです。
淡い色合いのガーネットを楽しむのなら、色の美しさを楽しめる原石やブレスレット、そして装飾が控え目なシンプルな宝飾品を選びましょう。
カットがきれい
ガーネットは原石のままでも、光沢が強く色も鮮やかな種類がたくさんあります。しかし、カットによって輝きを強めたり色味を変えたりもできます。
宝石の明るさや輝きはカット職人によって大きく違ってきます。
大量生産品や、偽物のガーネットの中にはカットが荒く、明らかに左右非対称なものもあれば、ガタガタしたラインの状態もあります。
素人が見分けることはむずかしいですが、ガーネットを購入するときは販売実績がある天然石ショップや宝石店を選びましょう。また、鑑定書がついたガーネットを選ぶこともポイントです。
カットの種類はさまざまありますが、たとえば輝きの強さを求めるなら、多くの面をつけて光の屈折を増やすファセットカットが人気です。また、大きなガーネットなら存在感があるエメラルドカットもあります。
クラック・内包物が少ない
ガーネットの種類によっては、特殊な内包物を楽しむものもあります。ただし、基本的にはクラック(割れ)や欠けがなく、内包物が少ないものを選びましょう。
特にクラックがあると耐久性が下がる分、ガーネットが壊れるリスクがあります。日常的に見に着けるならば、長く愛用できる品質のガーネットを見極めましょう。
また、正しいお手入れ方法を続けることも大切です。種類によって、流水や日光浴に適したものもあれば、石の品質に影響が出るものもあります。入手したガーネットの種類に合った方法で定期的に浄化し、汚れをお手入れしてください。
ガーネットのまとめ
ガーネットは情熱の石であり、実りの象徴です。古くから世界中で愛されてきた天然石で、多くの種類が存在します。
比較的安価で購入できるので、ヒーリングストーンを初めてご購入される方にもおすすめですよ。色とりどりのガーネットを眺めるだけでも、心が豊かになっていきます。
相性の良い天然石と組み合わせたブレスレットも人気です。自分の目標や生活に合ったガーネットを探してみてください。