皆様、サーペンティンはご存知ですか?
単体の鉱物に属するものではなく、共通する組成式を持つ珪酸塩鉱物グループの総称した混合石の一種です。
和名を蛇紋石と言い、名前の通り蛇のうろこのように複雑な模様を持った鉱石で、建材として使われるほかアクセサリーとしても人気を集めています。
一般にサーペンティンと言えばアンチゴライト(antigorite/葉蛇紋石)のことを指しますが、その他にも同質異像のものや亜種の種類が非常に多く、肉眼での判別が難しい鉱石としても有名です。
蛇柄ということもあり、古来より魔除けや旅のお守り、危機回避などの石の意味を持つパワーストーンとしても用いられてきました。
そんなサーペンティンについて紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。
サーペンティンの豆知識天然石コラム
産地について
サーペンティンは、マンガンや鉄を主要な成分として含むほか、クロムやコバルト、ニッケルなども含む混合鉱石です。マンガン鉱床やクロム鉱床、タルク鉱床、マグマ鉱床などの様々な場所で産出される鉱物としても知られており、有名な産地としては韓国・忠清南道、中国・蘇州市、カナダ・ケベック州、オセアニア・ニューカレドニアが挙げられます。そのほかにアメリカ、アフガニスタン、イギリス、ギリシャ、フランスインド、イタリア、ニュージーランドなどからも取ることができるなど、世界中で採取できる鉱石としても知られています。日本でも埼玉県秩父郡や高知県高知市がサーペンティンの産地として有名です。サーペンティンのグループには様々な種類がありますが、どれか単体で産出されることはあまりなく、他の成分と結びついて産出されることが多い鉱石として知られています。
サーペンティンは、大理石のように壁や床などに使われる蛇紋岩の主成分としても有名で、上部マントルに含まれるオリビン(橄欖石/olivine)が水分によって変質し、オリビンが水によって分解した後にブルーサイトが加わることで蛇紋岩になります。
サーペンティンが含まれる土壌はニッケルなどの含有率が高く、カリウムなどのミネラルの量が少なくなる傾向があり、そのため植物の生育環境として害があり、木々がまばらに生える土壌となることもあることから、サーペンティン荒野という名で呼ばれることもあります。
名前の由来について
サーペンティンという名前は、結晶が集合してできる模様が蛇に似ていることから、ラテン語で蛇のようなという意味を持つ「Serpentineus」を由来として名付けられました。サーペンティングループの主な種類としては硬度3.5~4で単斜晶系のアンチゴライト、硬度2.5と比較的低めで六方晶系のリザーダイト(Lizerdite)、単斜晶系のクリノクリソタイルと斜方晶系のオーソクリソタイルと2種に分類されるクリソタイル(chrysotile)があり、そのほかに亜族の蛇紋石鉱物としてはアメサイトやグリーナライトなどが挙げられます。
アンチゴライトはイタリアのアンチゴリオ渓谷で産出されたことから名付けられ、そのなかでも葉脈のような模様や白い斑模様をもつものをボーウェナイトとも呼びます。リザーダイトはイギリスにあるリザード半島で取れたことに由来し、クリソタイルは繊維状の結晶がギリシャ語で金の髪という意味の言葉に因んでつけられました。クリソタイルの綿状の繊維は、長期間吸い込むことで健康被害をもたらすとされるホワイトアスベスト(白石綿)としても知られており、世界で使われていたアスベストの割合の中で9割を超えていたとして有名です。
サーペンティンの見た目と輝きは?
サーペンティンは、基本的には成分が単体か混合かで変わり、サーペンティンとして扱われることの多いアンチゴライトは緑色が主体で、半透明から不透明の見た目をしています。色も白や赤、緑、青など幅広く、産地によって色合いの濃淡があり、他の成分を含むことで生まれる模様も豊富で、様々な表情を見せてくれる天然石です。その中で、翡翠に見た目が似ているものや、着色されて翡翠の代用品として使われるものはニュージェード(New Jade)という名前で呼ばれることがあります。
どんな効果が期待できる石なの?
サーペンティンは、蛇に似た模様を持つことから、古来より旅立ちや再生の象徴として、死した後の魂が天国へ行けるように埋葬されたという逸話もあるなど、縁起物として扱われてきました。機器察知や回避の効果が期待できるとして、魔除けや旅に出る場合のお守りとして現在も使われており、新しいことを始める勇気や困難を乗り越える力をもたらす石の意味も持っています。
そのほかに、精神の安定や成長、インスピレーションを高める、魂と精神と肉体の統合などの石言葉もあるなど、お守り以外の効果も期待できるパワーストーンとして有名です。
こんなアイテムに加工されています
サーペンティンは、線路に敷く砂利の鉄道バラストや建築用資材、原子炉の中性子シールド、ニッケルの供給源、絶縁材料などの工業用資材として用いられることが多い鉱石です。また、研磨することで樹脂のような光沢を発するためアクセサリーなどにも使われますが、硬度は低めなので取り扱いには注意した方がよいでしょう。
サーペンティンの基本情報(原産地や石言葉など。)
和 名:蛇紋石(じゃもんせき)
色 彩:半透明~不透明で樹脂光沢を持ち、緑色、白色、黄色などがある
石言葉:旅と再生の象徴、危機回避
原産地:韓国・忠清南道、中国・蘇州市、カナダ・ケベック州、オセアニア・ニューカレドニア、アメリカ、アフガニスタン、イギリス、ギリシャ、フランスインド、イタリア、ニュージーランドなど
組 成:(Mg,Fe)₆Si₄O₁₀(OH)₈
硬 度:2.5~4
比 重:2.2~2.9
サーペンティンと組み合わせると良い石
・ガーネットは「精神の成長と、目標達成に至る」
・オニキスは「危険を遠ざける厄払いのお守り」
・ローズクォーツは「精神に安定をもたらし、思いやる心を持つ」
・ゴールドルチルクォーツは「新しく始めた仕事の成功、金運上昇」
サーペンティンのヒーリング
・旅立ちと再生の象徴
・危機回避
・魔除けのお守り
・旅のお守り
・新しい環境に飛び込む勇気
・新しいことを始めるきっかけ
・精神の安定と成長
・魂・精神・肉体の統合
・インスピレーションを高める
サーペンティンの浄化・お手入れ
クラスター ◎
セージ ◎
太陽光 ○
月光 ◎
浴水 ◎
サーペンティンのまとめ
サーペンティンは、工業用に使われるだけではなく、蛇のような柄を持つことにあやかり古くから危機を回避する旅のお守りとして使われてきた、魔除け効果が期待できる天然石です。現在でも旅に出る際や、新しい環境に飛び込む時、なにか始める場合のお守りとして人気があります。精神的な成長や安定をもたらしたり、インスピレーションを高めたりといった石の意味もあるため、心の疲労を癒したい方や落ち着かない気分を静めたい方、なにか閃きを得たい方などにおすすめです。独特な柄や色合いを生かして、他の石と組み合わせれば、オリジナリティあふれるアクセサリーに仕上げられるので、ぜひチェックしてみてくださいね。